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2018年3月12日月曜日

(少女前線/Girl's frontline)公式設定資料集付属資料その3

若干意訳部分が多いけどまあ元々中国語→英語→日本語なので気にしてはいけない。

文中の制御コアはいわゆる「核心」の事。
星3以上の人形を解役させると出てくるアレ。
設定関連記事の目録はこっち
その2はこちら

第2世代戦術人形の時代


 民間市場の成長要因の一つは国際情勢の変化だ。2051年までに第3次世界大戦は終結し、生産・サービス分野における労働力の需要と民間軍事請負会社への依存は着実に大きくなっていった。幾つかの大規模なPMCと多国籍企業がIOPと取引関係にあったが、中でもG&K [注5]はより重要な顧客の一つだった。G&Kの創業者であるベレゾヴィッチ・クルーガーは元ロシア連邦内務省の戦術指揮官で、ペルシカをIOPまで送り届けた人物だ。この作戦の報酬を受け取った彼は内務省を退職し、その資金で自身の会社を2053年に立ち上げた。G&KとIOPは強い関係があり、民間用人形を購入する費用は人間の兵士を雇用するよりもかなり安いため、クルーガーは人形の導入にかなり熱心だった。それに加えてクルーガーとウェイトキンの個人的な親交が続いたこともあり、IOPはクルーガーがハーミットと直接接触し、最新の運用データを提供することを許可した。


 ペルシカはG&Kから大量のデータを取得し、そのデータを用いた改良とCSD-06/07/08 型、SST-02A/03型の開発を行った。民間市場向けには特別に開発された人形も用意された。この民間用人形の初期型には、一般社会で徐々に人形が受け入れられる事を促すために疑似感情ソフトウェアの搭載と外見上の性差が設けられていた。その後のモデルでも美しい外見や良好なコミュニケーション能力、そしてカスタマイズ可能な事も相まって、民間用人形は高い評価を得た。こうして政府、民間企業、公共機関やその他の取引がIOPの収入の大部分を占めるようになった。一連の技術を完成させた後で、ペルシカは第2世代戦術人形の概念を考え始めた。より高性能な戦術人形はIOPへの注文を増やす事ができるため、ペルシカの研究はウェイトキンからの支援を得ることが出来た。しかしリコはこの考えに反対していた。リコの専門分野は戦術人形よりもAI研究のほうが近く、彼は既存の技術やネットワークの更新ではなく、AI技術の研究開発こそが人類の未来を切り開くと信じていた。リコは戦術人形用のAI研究をより深く行うための資金を望んだが、彼の提案は却下された。この事で彼は挫折し、彼の仕事に対する情熱は少しづつ小さくなっていった。彼は少しづつペルシカとIOPから解放されたいと考え始めた。そして多くの商談会で彼は鐵血製造公司と密かに接触した。鐵血製造公司はこの元90wishメンバーを歓迎した。しかしリコはIOPからの報復を恐れていたので、鐵血製造公司の警備部門はクルーガーに連絡を取り、G&Kは、リコが鐵血製造公司に移動する際の護衛を請け負うことになった。その対価として、クルーガーはリコの今後の研究成果の提供を求め、リコが今後居住する鐵血製造公司の工場で継続的に彼を警護することを提案した。鐵血製造公司とクルーガーはすぐに合意に至った。そしてリコは無事に鐵血の地下工場へ移動した。合意に基づいて、リコはすぐに新たな工場を準備し研究開発に没頭した。そして3年後には鐵血製ALRシリーズ戦術人形の性能を大幅に向上させた。IOPはすぐにリコがハーミットから去ったことを察知していたが、競合他社の能力や彼らの協力者の存在を考慮し、ウェイトキンは行動を取ることが出来なかった。自社製品の競争力を維持するため、ウェイトキンはペルシカへの資金供給を大幅に増やすことにした。これは後に16LABの設立につながる事になる。


 リコがハーミットを去ってから、ペルシカは戦術人形のソフトウェアとネットワークの重要性に気づき始め、彼女と彼女のチームはエッチング理論の開発に重点を置くことにした。また元90wishメンバーである事がもう安全を脅かさない事を確認したペルシカは、遂に戦術人形業界で彼女の経歴を明らかにした。IOPの資金援助を受けたペルシカは研究員を募集し始め、2057年に正式に"16LAB"という技術研究センターを設立した。十分な人材を集めたペルシカは、特別に用意されたコードを使用することで、戦術人形が武器や機材の能率を大幅に向上させる"ASST"エッチング技術を迅速に完成させた。エッチング技術はオープンソースであり、開発者はエンジンを入手して必要に応じたプログラムの改造が可能になっていた。ペルシカはエッチング技術のメンテナンスとアップグレードを担当するチームを任命し、IOP製人形の適切な調整を行わせた。これによってIOPは、ソフトウェアとハードウェアの整合性について長い期間にわたって優位性を維持できた。さらに彼女は人形のネットワーク接続構造をジーナプロトコルに基づいて修正した。人間の指揮下に無い人形の行動能力は限られているため、人形部隊は事前或いはネットワークを介して送られてきた命令に従って行動する。これらの部隊の行動モードは計画実行、偵察、分析、同期だ。エッチング理論を元に、ペルシカは戦術人形の指揮ネットワークシステムの研究を優先した。完全なネットワーク構造であれば、人間の指揮官が1体の人形に指示を与えるだけで人形部隊全体に指示を伝達する事が可能になる。この自動解析・通信システムは戦術人形の能率を37%向上させることが実証された。16Labはこの新しいネットワーク指揮システムを「ダミーネットワーク」と名付けた。この指揮システムを完成させつつ、ペルシカはダミーと本体の差別化をハードウェアの規格として標準化し、外観から識別可能にした。メインプロセッサと同期用機器は本体のみに搭載され、ダミー人形はより少ない機器とエッチング技術、そして行動用のソフトウェアのみが搭載される。このシステムは戦術人形の製造コストを増加させたが、逆にダミーの戦術人形の製造コストは低下した。従ってより多くの戦術人形が1つの分隊として運用されるに連れて、全体の導入コストは低下してった。結果IOP製品の市場での競争力は強化された。2057年以降に生産された戦術人形は全て、エッチングソフトウェアポートとダミーネットワークシステムの組み込みを含む各種モジュールの製造基準に基いて製造された。ペルシカは第2世代戦術人形をモジュラー化と標準化がなされた人形として定義し、戦術人形の基幹ソフトウェアと生産基準を統一するために、これらの技術的詳細を完全に公開した。


 同じ頃、リコは戦術人形のAIの行動とモジュラー化について独自の考えを持っていた。彼のAI「エリザ」は自己ループアルゴリズムを用いたAIであり、戦争中にその姿を表しつつあった。エリザを最上位とした第1世代戦術人形のピラミッド構造の指揮系統は、直接指揮が可能であれば暗号化モードもアルゴリズムもより優れているため、より高い能力を発揮できるとされた。ソフトウェアを一般的な武器との互換性を確保するために用いたペルシカに対して、鐵血の強大な製造能力を利用できたリコリスは、より大きな火力を持った小型の粒子兵器を開発した。設計が完了する前に、彼は粒子兵器を戦術兵器に装備して試験を実施し、戦術人形に対して搭載兵器に基いた調整と強化を行った。鉄血の戦術人形はIOPと異なり、ソフトウェアによって異なる武器に適応させることは出来なかったが、一方で人形と武器が統合された設計は個別に優れた性能を発揮した。しかし2061年に「蝶事件」が発生すると、鐵血製造公司の研究は停止せざるを得なくなり、関連する詳細情報はS09地区に封印された。鐵血製造公司の製品が停滞する中、IOPはほとんど人形の主要な市場を支配していた。戦術人形を軍や民兵に供給する以外に、IOPは民生用に多くの非武装の人形を開発した。戦術人形の規格統一後、ペルシカは戦術人形のモジュラー構成を引き続き改良した。戦術人形の安全対策をより確実にするため、彼女は制御コア全ての戦闘関連情報を統合し暗号化した。この制御コアは多くの接続と端子を持ち、エッチング技術との高い整合性を備えていた。戦闘用ソフトウェアも制御コアに直接導入され、戦術人形の戦闘能力を取り除く必要が生じた場合は、制御コアを取り外すだけで良くなった。


 2062年以降、IOPは軍事用・民生用人形のモジュールの標準化を完全に完了した。そして軍事専用であるACD型を除き、民間用人形はSST-05/05A/05A2、そしてSSD-62D/F/Gの6種類に集約された。SSTシリーズはIOPのブランドとして認められた製品で、SST-05型は高い動作性能と武器との互換性、そして人間とより自然に意思疎通を行うための感情シミュレーション用の大容量の記憶領域を持ったIOPの主力製品だ。初期の特殊戦闘用人形の一つとして見ると、05型はその後のモデルよりも若干性能が劣っている。しかし生産量の多さとメンタルマップ用データベースが大容量であるため、膨大な戦闘データが蓄積されている。05A型は特殊任務向けの改修型だ。05型で蓄積されたメンタルマップのデータを能率向上のために流用できる他、少ないソフトウェアでの動作が求められ、ハードウェアも若干改良されている。[注6] 05A2型は戦闘用の特注品だ。現行の軍用人形に近い性能を持っており、価格も同じくらい高価だ。このモデルには人間らしい挙動はあまり求められていないため、IOPは感情シミュレーション用の記憶領域を制限し、より多くのソフトウェアを導入した。05A2型の特筆すべき点は、メンタルマップが暗号化されていることだ。これによって極秘任務で運用する場合、この戦術人形はより安全に作戦を実行できる。一方のSSDシリーズはIOPが民生・軍事の両方の市場を意識して開発した。人間社会により溶け込めるように、SSD型は感情シミュレーション処理専用の膨大な記憶領域と、 サードパーティ製の対話ソフトウェアによって、平均的な市民が何も考えなくてもこの人形を運用できるようになっている。他にもSSD型は外観のカスタマイズが可能で、D型はサービス業向け、F型は儀礼向けだ。どちらのモデルにもカスタマイズ可能な数百種類の外観モジュールが用意されており、民間市場の要求を完全に満たすことができる。また制御コアを必要に応じて組み込むことで、SSD型は戦闘においても平均以上の性能を発揮できる。警護や警察のような限定的な破壊力を必要とする業務にも使用可能だ。G型は特に警察から軍までの特殊任務向けの特別なサービスモデルで、D型、F型と比較すると極めて高価な代わりに高い性能を持っている。その価格と生産性の低さから、市場で見ることは少ない。


注5: 正式名称は"Griffon and Kryuger Military Contractor and Security Consultancy Services"
注6: G&KはSST-05A型に非常に満足しており、彼らが最前線で運用する戦術人形の大半はこのモデルだ。

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