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崩壊/逆崩壊技術
我々の一般的な世界において物質の最も安定な状態は固体とされ、分子結合が最も強固である。しかし未知の文明から見れば、固体は保存に優れた状態ではない。彼らは物質の構成を流体とみなして、現在の人類とは異なる物理法則を作り上げた。一般的な理論物理学から考えると、未知の文明は微細粒子の制御について驚異的な領域に到達していた。これは物質の高密度な圧縮として見ることができる。遺跡に存在するのは高度に統合された調合装置であり、様々な分析結果は遺構技術の複雑さを示している。しかし我々は、遺跡の技術体系に関していくつかの結論を導き出すことができ、それは「崩壊技術」及び「逆崩壊技術」として更に分類された。
崩壊技術について説明するために、分子の壁を実際の壁として考えてみよう。外部からの力が加わると壁のレンガは地面に飛び散るように、崩壊技術は分子に同じ効果をもたらす。一方の逆崩壊技術の場合には、まるで散らばったレンガが元通りになるように分子間の力を復元する。
推測ではあるものの、崩壊技術は未知の文明で一般的に用いられていたことが、世界中の遺跡の分析結果によって示されている。未知の文明が物質を構成する分子の間に働く分子間力を途絶させる一種の崩壊液 (「液」と呼ばれているが、実際は無秩序な運動で伝搬する粒子の一種であり、量子の不可視性の中で明らかになるのは物質にそれが浸透した後である。貫通する間の周波数は高く、組成も異なる。 ボトムクォークと光子のみが観測される。)[5] 分子の組成を破壊し、物質の構造の崩壊を生じる。さらに元の分子空間を捻って圧縮し、定量化する為に分子力を用いる。記録装置が逆崩壊の準備として元の分子の組成を記録し [6]、崩壊は終了する。これが人類の知識の範囲内で現在理解され、最も広範に利用される遺構技術である。
逆崩壊技術は崩壊技術とは逆の働きをする。電子の拡散を阻止した後で、計算機は物質の構造を読み込み、続いて崩壊液は物質の状態の圧縮を解除して、分子振動を再開させる。この時、同じ周波数の光子を吸収した後で、電子のエネルギー準位の遷移による大量の発熱により、この過程では高熱を発するという問題がある。そして物質は能動的な流体状態へ変化する。(注意: 液体ではない。) 分子は、読み込まれた構造情報に従って本来の位置と分子間力を回復する。最後に電子の拡散の制限が解除され、逆崩壊は完了する。
遺構技術における人類の研究の遅れは、最も簡単な崩壊技術ですら取り扱いを困難にさせた。もし崩壊液をガス缶とすれば、原始的な人間でもガス缶を破壊して爆発を起こす事ができる。その時に、ガスを使えば温かい食事を作れる事を一切考える必要もない。
遺跡はそれぞれ異なった技術の利用法があったとされている。1,992年に国連遺構科学研究局(UNBAS)が設置される以前、各国は遺跡について完全に理解することができなかった。実際、第2次世界大戦後間もなく大規模な遺跡の発掘は始まったにもかかわらず、崩壊・逆崩壊技術の核心は当時の科学水準では理解できなかった。超大国ですら、発見から40年経っても初歩的な兵器としてしか扱えていない。原子物理学が発展するまで、人類の崩壊技術が危険な物でないと確信できなかった。この技術の真の脅威は、マクロな領域を完全に操作する上で、マクロとミクロの領域を繋ぎ、物質の分解と再構築や、遠隔地に物質を以前は思いもよらないような形で転送することすら可能なことだ。[7]. 崩壊技術が一般物理学へ与えた衝撃は現在でも依然として残っている。しかし人類の科学を遥かに超えた、逆崩壊技術の与えたそれに比べれば小さなものである。
注5:
ソ連は制御可能で大きな破壊力を持つ非核兵器として1970年代に価値を見出し、アメリカも同時期に似たような実験を行っている。しかしアメリカは識別の為に他の物質を用い、縦偏極装置を用いて崩壊液を可視化していた。
注6:
量子力学では、粒子の位置と運動量を同時に決定することはできないとされている。またミクロ物理学から見れば、粒子の質点の位置を正確に計測することは不可能である。おびただしい数の分子とその構造を正確に記録する事は想像を超える事だ。
注7:
具体的な例を示すと、情報密度を上げるために書き込み済みのデータベースを崩壊させ、さらに量子通信によって複数のスーパーコンピュータ間でデータベースの並列処理を行うことができる。
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